遺産分割協議書の作成方法は弁護士に相談してください
他の相続人たちと話し合いを行って合意が成立したら、その合意の証拠となる「遺産分割協議書」を作成しなければなりません。
もし、作成した遺産分割協議書の内容が不適切な場合、法務局で不動産の名義変更を受け付けてもらえなかったり、銀行預金の払い戻しなどに手間取ってしまったりする可能性があります。
今回は、遺産分割協議書の正しい作成方法を弁護士の視点から、簡単に解説します。
1.遺産分割協議書の書き方
遺産分割協議書を作成する際には、最低限以下の3点を間違いなく記載することが重要です。
1-1.被相続人の表示
まずは、被相続人(死亡した人)を正確に表示しましょう。重要なポイントは以下の通りです。
・氏名
戸籍と住民表に記載されている通りに記載しましょう。
「齋藤」「斎藤」など、自体が複数ある場合には正確に記載しなければなりません。
・死亡時の住所
住民票に記載されている通りに記載しましょう。
たとえば「1-2-2」なのか「1丁目2番2号」なのかなども含めて正確に引き写します。
・死亡年月日
戸籍謄本を見て書きましょう。
・本籍地
死亡時の戸籍謄本で確認します。
1-2.遺産を引き継ぐ相続人の表示
そのケースにおける相続人全員を記載します。
氏名と住所、被相続人との続柄を正確に書き入れましょう。
1-3.引き継ぐ遺産の表示
どの相続人がどの財産を引き継ぐのかを記載します。
遺産を表示するときには、一定のルールがあります。
・不動産
全部事項証明書の「表題部」に記載されている通り、所在、地番、地目、地積、家屋番号、構造などを記載します。
・預貯金
金融機関名、預金の種類、口座番号、口座名義人を記載します。
・株式
銘柄や株数を書きます。
遺産が多いケースでは「遺産目録」を別紙としてつける方法もあります。
2.署名押印の方法
遺産分割協議書を完成させるには、相続人全員が署名押印する必要があります。
押印は必ず実印を使いましょう。
例えば、不動産の登記申請や銀行預金の解約や払戻しの際、
実印による押印と押印した印鑑登録証明書を要求されるからです。
また遺産分割協議書が複数枚になる場合には、ページとページの間に全員分の契印が必要です。
こちらについても実印で押印しましょう。
3.遺産分割協議書を作成する際の注意点
遺産分割協議書を作成する際、巷に広まっている「ひな形」を利用するケースもありますが、
相談に来られて見せてもらうと、即座に不十分であることを指摘できることが多いです。
例えば、「ひな形」を使うと相続財産の特定が不十分になってしまったり、
誰がどのような方法で遺産を取得するのかわかりにくくなってしまったりして、
法務局や金融機関などで手続きを受け付けてもらえないリスクがあります。
遺産分割協議書を作成するなら、専門家に依頼して個別の事案に即したものとすべきです。
また相続時には、相続税の申告納税についても考えておかねばなりません。
相続開始を知ってから10か月以内に申告と納税を済ませないと、
税金の延滞状態となってしまいます。
当事務所では遺産相続事案に大変力を入れており、税理士法人とも提携しながら相続にまつわるあらゆるご相談に対応しております。
遺産分割協議書を作成されるなら、お気軽にご相談ください。