会社の解散・特別清算の活用方法
- 会社の資金繰りが苦しい
- 後継者が見つからないので廃業したい
- 事業の業績が悪化しており、会社をたたみたい
そんなとき、会社を「解散」後に「特別清算」すると問題を解決できる可能性があります。
財務状況が悪化していても特別清算に成功すれば破産せずに済むので、ぜひその方法を押さえておきましょう。
今回は会社の解散や特別清算とはどういった手続きなのか、その進め方とともに解説します。
1.解散とは
会社の「解散」とは、営業活動をやめて会社を消滅させることです。
解散後に清算手続きを完了すると、最終的に会社を消滅させることができます。
つまり会社を廃業するためには、まずは「解散」しなければなりません。
会社法による解散原因は以下の7つです。
- 定款で定めた期間が満了
- 定款で定めた解散事由が発生
- 株主総会決議で決定
- 合併によって会社が消滅
- 破産手続開始の決定
- 裁判所による解散命令
- 休眠会社の「みなし解散」制度が適用
経営難などで自主的に廃業したい場合には「株主総会の決議」によって解散決議を行うのが一般的です。
2.特別清算とは
特別清算は、解散に引き続いて行う会社資産の整理手続きの一種です。
実は会社の解散決議を行っても、資産や負債を整理しなければ法人を消滅させることはできません。
基本的には「清算」という手続きにより、会社の資産と負債を整理していきます。
ただし債務超過の疑いがある場合や特殊事情がある場合、通常の清算手続きを適用できません。
そこで「特別清算」を適用し、裁判所の監督のもとに会社を消滅させるための清算手続きを進める必要があります。
特別清算を適用すべきケースは以下の2つです。
- 清算の遂行に著しい支障をきたす事情がある
- 債務超過の疑いがある
3.解散~特別清算の流れ
会社を解散させて特別清算を進めるための流れは以下の通りとなります。
- 株主総会で解散決議を行う
- 清算人を選任する
- 必要書類を集める
- 裁判所へ特別清算の申立てを行う
- 特別清算開始命令が発令される
- 清算業務を行う
- 協定案を作成、裁判所へ提出
- 債権者集会によって協定案の決議を行う
- 協定案にもとづいて弁済をする
- 清算手続が終了する
特別清算を行うには「清算人」を選出しなければなりません。会社の元代表者が就任することも可能です。
また特別清算の際には、裁判所への申立てが必要です。
そのためには多数の必要書類を準備しなければなりません。
清算業務を完了したら債権者との協定案を作成し、債権者の意見を聞く必要があります。
全体の過半数かつ債権総額の3分の2以上の債権者が賛成すれば、協定案が可決されて裁判所で正式に認可されます。
協定案とおりに支払いをすれば特別清算手続きが完了し、会社は消滅します。
債務超過のおそれがあっても特別清算ができれば破産する必要はありません。
特別清算の場合、破産と違って元代表者が自ら清算手続きを進められるなどのメリットがあります。
会社の経営状況が悪化して廃業を検討されておられるなら、一度弁護士までご相談ください。