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宗教法人が不動産を売却するときの注意点、手続きの流れ

公開日:2022/10/16 / 最終更新日:2022/10/15

宗教法人が不動産を売却する際には、一般の個人や株式会社などの法人が売主になる場合とは異なる規制が及びます。

「宗教法人法」や「宗教法人の規則」が定めるルールに従わないと、

売買契約が無効になってしまう恐れもあるので注意しましょう。

 

今回は宗教法人が不動産を売却するときの注意点(宗教法人法による規制内容)や売却の流れをご説明します。

 

1.宗教法人が不動産の処分を行う際に必要な手続きと流れ

宗教法人法では、宗教法人が不動産の「処分」を行うとき、以下の手続きを踏まねばならないと規定されています。

 

規則または責任役員決議による承認

当該宗教法人の規則において不動産処分に関する手続き方法が定められていれば、その手続きにしたがって売却を決定する必要があります。

規則に特段の定めがない場合には。「責任役員の過半数による決議」で不動産処分を承認しなければなりません。

 

公告

次に不動産を売却する少なくとも1ヶ月前に、信者やその他の利害関係者へ公告する必要があります。

 

代表役員が契約を締結する

宗教法人が不動産を処分するには、責任役員の中から「代表役員」を定めなければなりません。

その代表役員が買主との間で売買契約を締結します。

 

以上のように、宗教法人が不動産を売却するには、

「役員決議による承認」と「公告」と「代表役員による契約締結」

という3つのルールを守らなければならないので、注意しましょう。

 

2.宗教法人法を守らなかった場合の売買契約の効果

もしも上記の宗教法人法23条が規定するルールに従わずに不動産を売却した場合、その効果はどうなるのでしょうか?

 

基本的には無効になる

宗教法人法を守らずに行われた不動産(境内建物や境内地)の処分は基本的に無効となります。

 

 

例えば以下のような場合、売買契約の効果が認められない可能性が高くなるので注意しましょう。

 

・責任役員決議を行わなかった

・売却の1ヶ月以上前に信者や利害関係者に公告をしなかった

・代表役員ではない人が売買契約書に署名押印した

 

 

善意の第三者には主張できない

ただし、取引の相手が宗教法人の内部事情について知らないケースや

買主から事情を知らない第三者が不動産を買い受けるケースもあるでしょう。

こうした「宗教法人法が守られていないことを知らない相手方や第三者」は保護されるべきです。

宗教法人法の規定に従わなかったことを知らない取引相手や第三者に対しては、契約の無効を主張できません。

しかし、取引相手や第三者に重過失がある場合には保護の必要性が低いので、契約の無効を主張できると理解されています。

 

宗教法人が不動産を売却する際には通常の法人とは異なる注意が必要です。

当事務所では宗教法人向けのリーガルサービスを提供しております。

宗教法人の運営や資産の取得、売却、事業継承など、お悩みの際にはお気軽にご相談ください。