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遺留分侵害額請求とは?法改正前の遺留分額減殺請求との違いを解説

公開日:2022/09/24 / 最終更新日:2022/09/23

相続人が「遺留分」を侵害されたときに遺留分を取り戻すには「遺留分侵害額請求」を行う必要があります。

 

法改正前に遺留分を取り戻す方法は「遺留分減殺請求」でしたが、

201971日から「遺留分侵害額請求」に変更されました。

 

今回は現在の遺留分侵害額請求と過去の遺留分減殺請求の違いについて解説します。

遺言や贈与によって遺留分を侵害された方はぜひ参考にしてみて下さい。

 

1.遺留分侵害額請求とは

遺留分侵害額請求とは、侵害された遺留分をお金で取り戻すための手続きです。

兄弟姉妹と甥姪以外の法定相続人には「最低限の遺産取得割合」である「遺留分」が認められます。

遺言や生前贈与によって遺留分すら受け取れなくなってしまったら、

侵害された相続人は侵害者(受遺者や受贈者)へ遺留分を請求できるのです。

 

このとき、お金で遺留分の清算を求める権利が遺留分侵害額請求権です。

たとえば、総額2000万円の遺産が遺されて配偶者が4分の1の遺留分を取得した場合、

配偶者は、侵害者に対して500万円の支払いを請求できます。

 

2.遺留分減殺請求との違い

遺留分侵害「額」請求権は、相続法改正により新たに作られた権利です。

改正前に遺留分を請求する権利は「遺留分減殺請求権」でした。

遺留分減殺請求権は、遺留分を「遺産」のまま取り戻す物権的な権利です。

 

たとえば2000万円の価値のある不動産が遺されたとき、配偶者に4分の1の遺留分が認められた場合を考えてみましょう。

配偶者が遺留分減殺請求を行うと、配偶者は「不動産の4分の1の共有持分」を取得します。

つまり侵害者が4分の3、配偶者が4分の1の共有持分を取得して、不動産が共有状態となってしまうのです。

共有状態を解消したければ、「共有物分割請求」を行わねばなりません。

このように、遺留分減殺請求を行うと遺産が共有状態となって請求者も侵害者も望まない結果になるケースが多かったので、

改正法では「金銭的な解決」を原則とする「遺留分侵害額請求」へ変更したのです。

 

3.遺留分侵害額請求の時効

遺留分侵害額請求や遺留分減殺請求には時効があります。

どちらも「相続開始と遺留分侵害を知ってから1年以内」に相手に請求しなければなりません。

また遺留分侵害額請求の場合、上記の請求後「5年以内」に現実に金銭を回収しないと債権が時効にかかってしまいます。

一方、遺留分減殺請求の場合、1年以内に請求した時点で遺産を取り戻せるので債権の事項に関する問題は生じません。

このように遺留分侵害額請求と遺留分減殺請求を比べると、時効の点では遺留分侵害額請求のリスクの方が高くなるでしょう。

 

いずれにしても、遺留分を取り戻したいなら早めに行動する必要があります。

 

4.遺留分侵害額請求が適用されるのはいつから?

遺留分侵害額請求が適用されるのは、「201971日以降に発生する相続」です。

それ以前に発生した相続には遺留分減殺請求が適用されます。

遺留分侵害額請求をすると、相手との交渉、ときには訴訟が必要となる場合も少なくありません。

時効もあるので早めに対応する必要もあります。

お悩みの方がおられましたら弁護士までご相談ください。