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宗教法人における内部紛争に際して注意すべきこと

公開日:2019/01/06 / 最終更新日:2019/08/16

宗教法人内部における問題は、その独特な世界観から、理不尽なことでも訴えようがないと簡単に諦めていませんか。また、宗教法人の運営者は、宗教上の問題だからという理由で何でも自由にできると勘違いしていませんか。

 

今回は、宗教法人内部の問題でも裁判所において判断を受けることができる場合があることを紹介します。宗教法人内部で最も問題となるのは、懲戒等の懲罰ですから、その際に注意すべきことを取り上げていきます。

1.懲戒処分を実行する(受ける)前に検討すべきこと

  まず、懲戒をしようとしている理由はどんなものですか、確認してください。

  次に、その懲戒の根拠となる規則、規程等の文言を確認してください。

  これらを確認した時点で、何らかの疑問があれば、すぐに弁護士に相談すべきです。

  実行する(される)前に、法律相談を受けておくとその後の紛争を未然に防止できます。

 

2.懲戒処分を実行する(受ける)までの手続に問題はないでしょうか

  懲戒の根拠となる規則、規程等の文言を確認しましたか。

  ついでに、その懲戒を行うためにどういった手続を経ておく必要があるのかも確認してください。

  手続違反のみで懲戒処分が無効になるわけではありません。

  しかし、手続が疎かになることで次のような弊害があります。

   ・ 懲戒処分の前提となる事実認定があまい

   ・ 事実を立証する術が不十分

   ・ 対象者の弁解を論破する方法が少なすぎる

  こうしたことは、あとになって致命的な問題となることがあります。

 

3.懲戒処分を実行した場合、当該懲戒によって剥奪される権利や利益を確認してください

  宗教法人における代表役員の地位、責任役員の地位等の法律上、明確な地位が

  剥奪や制限されていませんか。これらが問題となる場合、法的なトラブルとなり得るため、

  裁判に発展する可能性は高いです。

  宗教法人の運営者は、裁判とならぬように備えておく必要があります。

  宗教法人の構成員は、裁判で争うことができないか、検討することが必要となります。

 

  比較的判断しやすい事案以外にも、宗教法人内部の規則、規程の定めによっては、

  裁判所による判断になじむ場合があります。

  過去の判例等に照らして、そうした権利を剥奪する(される)結果にならないか、

  検討しておく必要があります。