婚姻費用の請求方法
離婚前に夫婦が別居する場合、収入の低い側は相手に「婚姻費用」を請求できます。
婚姻費用とは、ごく簡単に言うと、「生活費」のことです。
今回は別居後の生活費としての「婚姻費用」を請求する手順を解説しますので、
別居を検討している方や別居中で生活費を受け取れていない方はぜひ参考にしてみてください。
1. 別居前に話し合って合意する
別居前であれば、早めに相手と話し合って婚姻費用の支払いについて合意しましょう。
婚姻費用の金額は、以下の家庭裁判所の定める婚姻費用算定表を基準に決めるようお勧めします。
(平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所 (courts.go.jp))
合意ができたら必ず「合意書」を作成して書面化しましょう。
できれば、「公正証書」にしておくと、
相手が支払わないときに給料や預貯金等の差し押さえを判決をとらずにできるのでメリットが大きくなります。
2.別居後に婚姻費用を請求する手順
別居後に婚姻費用を請求するなら、以下の手順で進めましょう。
2-1.話し合う
話ができる状況であれば、相手に婚姻費用の支払いを持ちかけて話し合うのがよいでしょう。
合意ができたら合意書を作成し、可能ならば、公正証書化します。
2-2.婚姻費用分担調停を申し立てる
話し合いが難しい場合には、家庭裁判所で「婚姻費用分担調停」を申し立てましょう。
調停では、多くのケースで調停委員が妥当な婚姻費用の金額を算定し、
相手に払うように説得もしてくれます。
相手が納得すれば調停が成立し、支払いを受けられるようになります。
調停で決まったにもかかわらず相手が約束通りに払わない場合には、給料などを差し押さえることも可能です。
2-3.審判によって決定する
相手が調停委員から説得されても支払いに応じない場合や金額的に合意が難しい場合などには、
調停は不成立になって「審判」に移行します。
審判になると、裁判官が双方の提出した収入資料をもとに適正な金額を算定し、相手に支払い命令を下します。
3. いつから婚姻費用が支払われるか?
審判になると、「調停申立時からの遡及分」をまとめて支払うよう命じられます。
たとえば月額10万円が相当な事案において、
調停申立月から審判まで6ヶ月かかった場合、相手に60万円の一括払い命令と、審判後毎月10万円の支払い命令が出ます。
一方で、調停申立前の未払い分については、遡及して支払い命令を出してもらえない可能性が高いので、
内容証明郵便等の相手に届いたことが立証できる手段で支払いを求めておくか、
婚姻費用分担調停は早めに申し立てるのがよいといえるでしょう。
当事務所では離婚に悩まれている方へ向けて積極的なサポートを提供しております。
別居後の婚姻費用(生活費)について不安をお持ちの方がおられましたらお気軽にご相談ください。