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コラム
2020.04.10

「時効」制度に関する民法改正内容について

2020年4月から改正民法が施行され、時効に関する制度が大きく変わります。
今後はこれまでの時効に関する考え方が通用しなくなるので、正しい知識を持っておきましょう。

今回は民法改正による債権の消滅時効制度の改正内容について、解説します。

 

1.基本的にすべての債権の時効が統一される

従来の民法では一般的な債権の時効期間は10年とされており、

売掛金などの個別の債権や商行為にもとづく債権などについては別途短期消滅時効が認められていました。

しかし改正後は、時効完成までの期間が以下のように統一されます。
 ① 債権者が権利行使できると知ったときから5年

 ② 客観的に権利行使できる状態になったときから10年

基本的にほとんどすべての権利について、上記の期間が過ぎたときに消滅します。

売掛金や飲食代金だからといって早く時効消滅することはありませんし、

これまで10年間で消滅していた個人同士で貸し借りした借金なども、請求できる認識がある限り、5年で消滅するようになります。

ただし確定判決にもとづく債権の時効は改正後も10年です。

2.時効中断制度の改正

現在の民法においても、時効を止めるための制度が認められています。

具体的には時効を「中断」させれば時効の進行が止まり、また当初から期間の進行を開始するとしています。

また時効の完成を困難にさせる事情があれば時効は一定期間「停止」します。

さらに一定期間時効の完成を猶予させるための「催告」という制度もあります。

2-1.完成猶予と更新に変わる

改正後は、時効を中断する制度が「完成猶予」と「更新」に変わります。
「完成猶予」とは、従来の「停止」と同様に時効を一旦停止させること、

「更新」は、従来の「中断」と同様に時効を巻き戻して再カウントすることです。

改正民法では以下のような場合、時効がいったん停止して「完成猶予」の状態になります。
①裁判上で請求したとき

②支払督促をしたとき

③調停を申し立てたとき

④破産手続きや民事再生手続き、更正手続きに参加したとき

そして上記の権利行使によって権利内容が確定したとき、時効が「更新」されます。

たとえば確定判決が出たときや調停が成立したとき、破産手続きが確定したときなどに時効が「更新」され、そのときから10年で時効が完成します。

これまで「催告」と呼ばれてきた制度は、「完成猶予」の一つとされますが内容は代わりません。

催告時から6か月は時効が完成せず、その間に裁判や調停などを起こす必要があります。

3.差押え、仮差押、仮処分の効果

差押えや仮差押、仮処分は「完成猶予」の事情となります。

差押え後、実際に強制執行が行われると時効の「更新」が起こります。

4.承認の効果について

債務者が債務を承認すると、改正後も時効の「更新」事由となります。現行民法と同じ扱いです。

5.合意による時効の完成猶予

民法改正後は当事者が書面で合意することにより、一定期間(基本的には1年まで)時効の完成を延期できるようになります。

時効制度が改定されると、ビジネスの場にもいろいろと影響が及んできます。

弁護士が法的観点からの支援を行いますので、お気軽にご相談下さい。